新基準原付を徹底解説! 従来の原付との違いや背景、メーカーの動向も紹介
2025年4月から、新しい排ガス規制の導入に伴い、従来の50cc原付に代わる新区分「新基準原付」が誕生しました。しかし「新基準原付」という言葉を耳にしても「今までの原付とどう違うの?」「免許はどうなるの?」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、新基準原付の概要から導入された背景、従来の原付との違いなどを解説します。また各メーカーの新基準原付に関する動向や、よくある質問にもお答えします。免許の取得を検討中の方は、ぜひ参考になさってください。
【この記事で分かること】
- ・2025年4月から導入された新基準原付の概要や導入背景
- ・従来の50cc原付や原付二種との違い
- ・ホンダ・ヤマハ・スズキなど、主要メーカーによる新基準対応モデルの開発動向
※2025年10月29日時点の情報です。
目次
新基準原付とは?
2025年4月1日から、新たに「新基準原付」という区分が導入されました。これは、総排気量125cc以下かつ最高出力4.0kW(5.4ps)以下の二輪車を指し、従来の原付一種に加わった新しい区分です。
背景には、2025年11月に施行される「第4次排出ガス規制(ユーロ5相当)」があります。この規制では、排出ガス中の一酸化炭素や窒素酸化物の基準値が大幅に引き下げられ、従来の50ccエンジンでは技術的にもコスト的にも対応が難しいと判断されました。
そのため、警察庁・国土交通省・経済産業省・メーカー各社が協議を重ね、より環境性能に優れた125ccクラスを新たな原付として扱う方針を決定しました。これにより、従来の50ccモデルは2025年10月末で生産終了となり、今後は新基準原付が生活の足として主流になっていく見込みです。
従来の原付一種との違い
新基準原付と従来の原付一種(50cc以下)には、いくつかの違いがあります。まず排気量と出力の上限が異なり、従来は「総排気量50cc以下」だったのに対し、新基準原付では「125cc以下・最高出力4.0kW以下」に拡大されました。これにより、よりスムーズな加速や安定した走行が可能になります。
一方で、運転に必要な免許区分は従来と同じく、原付免許または普通自動車免許を所持していれば運転できます。交通ルールも変わらず、法定速度30km/hや二段階右折義務など、従来の原付と同じルールが適用されます。ナンバープレートの色や税額も従来と同様で、軽自動車税(種別割)は年額2,000円が目安です。
ただし注意が必要なのは「125ccのバイク全てを原付免許で運転できるようになるわけではない」という点です。あくまで出力が4.0kW以下に制限された125cc以下の車両のみが対象となります。
このように、新基準原付は排気量の拡大と環境性能の両立を図りつつ、運転制度やルール面では従来の原付と同じ位置づけを維持しています。
新基準原付と原付二種の違い
新基準原付と原付二種は、どちらも排気量125cc以下の小型二輪車に分類されます。しかし、免許の種類や走行ルール、車両性能、ナンバープレートの区分など、いくつかの点で異なります。
2025年4月に導入された新基準原付は、原付免許や普通自動車免許で運転できる新しいカテゴリーであり、従来の原付一種に新たに加えられました。一方、原付二種はより高出力の125ccクラスで、二輪免許を取得しなければ運転できません。
ここでは、両者の違いを順を追って分かりやすく解説していきます。
必要な免許
新基準原付は、原付免許または普通自動車免許を持っていれば運転可能です。免許制度自体に変更はなく、16歳以上であれば従来通り原付免許を取得できます。
ただし注意が必要なのは「125ccのバイクが原付免許で運転できるようになる」と誤解されやすい点です。あくまで出力が4.0kW(5.4ps)以下に制限された車両に限られ、原付二種(4.0kWを超える125cc)は運転できません。
一方、原付二種を運転するには、小型限定普通二輪免許(AT小型限定を含む)が必要です。つまり、新基準原付に比べて原付二種の方が運転するためのハードルが高いといえるでしょう。
交通ルール
新基準原付と原付二種では、適用される交通ルールにも違いがあります。新基準原付は、従来の原付一種と同様に最高速度30km/hに制限され、二人乗りは禁止、交差点での二段階右折が義務です。また高速道路や自動車専用道路の走行は禁止となっています。
一方、原付二種は最高速度が60km/hに設定され、二人乗りが可能で、二段階右折の義務もありません。ただし、こちらも高速道路・自動車専用道路の走行はできません。
このように、同じ125ccクラスでも免許区分の違いによって運転ルールが大きく変わります。原付免許で運転できる車両には、引き続き厳しい制限が課される点を理解しておくことが大切です。
バイクの性能
性能面では、新基準原付と原付二種の間に明確な差があります。新基準原付は、総排気量125cc以下・最高出力4.0kW(5.4ps)以下という制限が設けられており、出力自体は従来の50ccとほぼ同等です。
ただし、排気量の増加によりトルク(力強さ)が向上し、坂道や発進時のスムーズさが期待されます。
一方の原付二種は、4.0kWを超える高出力エンジンを搭載しています。例えば、ホンダ「スーパーカブ110」は5.9kW、ヤマハ「アクシスZ」は6.1kWといった具合に、加速力や巡航性能に優れています。そのため、原付二種は通勤・通学だけではなく、長距離走行にも対応できる快適さが魅力です。
一方の新基準原付は、街乗りや短距離移動を前提とした実用重視の設計といえるでしょう。
ナンバープレート
ナンバープレートの色と区分にも、両者の違いがあります。新基準原付のナンバープレートは白色です。見た目は原付二種の一部モデルと似ていますが、排出ガス規制や出力制限の基準によって区分が異なります。
一方、原付二種は排気量によってナンバーの色が変わり、50cc超〜90cc以下は黄色ナンバープレート、90cc超〜125cc以下はピンクナンバーになります。
同じ125ccクラスでも、新基準原付(白)と原付二種(ピンク)では出力基準と登録区分が異なるため、登録時には間違えないよう注意が必要です。
税金
新基準原付と原付二種では、税金の区分にわずかな違いがあります。どちらも「軽自動車税(種別割)」の対象であり、毎年4月1日時点の所有者に課税されます。
新基準原付は、従来の50cc原付と同様に年額2,000円です。これは全国一律の金額で、自治体によって納付書の発送時期や支払い方法が異なる場合があります。
一方、原付二種は排気量によって課税額が異なり、50cc超〜90cc以下は年額2,000円、90cc超〜125cc以下は年額2,400円です。わずか400円の差ではありますが、区分によって維持費に差が出ます。また125ccを超えるバイクは「自動車重量税」の課税対象になりますが、
125cc以下の原付(新基準原付・原付二種ともに)は重量税がかかりません。そのため、排気量の割に維持コストが安く、燃費性能の高さと併せて人気があります。このように、新基準原付は税金面でも従来の原付とほぼ同じ負担で利用できる点が特徴です。
保険料
保険制度においては、新基準原付と原付二種の扱いはほとんど共通しています。どちらも125cc以下の二輪車として、同じ自賠責保険の料率が適用されます。
自賠責保険の保険料は契約年数によって異なり、例えば12カ月契約でおよそ7,000円前後、60カ月契約で1万5,000円程度が一般的です。これは全国共通の制度であり、新基準原付でも原付二種でも金額に差はありません。
また任意保険については、自動車保険に付帯できる「ファミリーバイク特約」を利用するケースが多く見られます。これは、家庭で所有している自動車保険に原付(125cc以下)を追加できる仕組みで、新基準原付・原付二種のどちらにも適用されます。ファミリーバイク特約を利用すれば、別途バイク専用保険に加入するよりも手軽で、家族全員の運転も補償対象に含められる場合があります。
ただし、補償範囲や特約内容は保険会社によって異なるため、契約前に詳細を確認することが大切です。通勤・通学など日常利用の多いユーザーは、事故時の補償を考慮し、任意保険にも加入しておくと安心です。
新基準原付が導入された背景
新基準原付が導入された背景には、環境規制の強化と、生活の移動手段として原付を必要とする人々のニーズを両立させる目的がありました。
2025年11月1日に施行される「第4次排出ガス規制(ユーロ5相当)」では、従来よりも厳しい基準が設けられ、二輪車の排出ガス中に含まれる有害物質を大幅に削減することが求められます。
これまでの50ccエンジンでは触媒装置や排ガス処理システムの搭載が難しく、コストの面でも対応が困難と判断されました。結果として、50ccモデルの継続生産は事実上不可能となり、各メーカーは代替策を検討する必要が生じたのです。
一方で、原付は全国で約450万台が登録されており、通勤・通学・買い物など、日常生活に欠かせない移動手段として根強く利用されています。排ガス規制を理由に単純に「廃止」するのではなく、利用者の利便性を損なわずに環境対応を進めることが求められました。
そこで、警察庁・経済産業省・国土交通省・メーカー各社が協議を重ね、従来と同じ免許区分のまま乗れる新たな原付として制度化されたのが「新基準原付」です。
この新区分では、排ガス対策が施しやすい125ccクラスのエンジンを採用し、最高出力を4.0kW(5.4ps)以下に制御することで、従来の原付免許でも運転できるように調整されています。2025年4月1日から制度が施行され、同年10月末には現行の50ccモデルが生産終了となる予定です。
このように、新基準原付の導入は、環境対策と生活維持、そして技術的合理性を兼ね備えた次世代モビリティへの転換を意味しています。
新基準原付に関する各メーカーの動向
新基準原付の登場を受け、国内の主要バイクメーカーは次々と対応モデルの開発を進めています。2025年春のモーターサイクルショーでは、ホンダをはじめとする各社が新基準対応コンセプト車を発表し、電動化・安全性能の強化など、多様な方向性での開発競争が活発化しています。
ここからは、ホンダ・ヤマハ・スズキといった主要メーカーの具体的な動きを順に見ていきましょう。
50cc以下の原付バイクは生産終了へ
2025年11月1日に施行される「第4次排出ガス規制」を受け、各メーカーは50cc以下の原付モデルを2025年10月31日までに生産終了する方針を明らかにしています。
この規制では、排出ガス中の一酸化炭素や窒素酸化物などの有害物質の許容値が厳格化され、従来の50ccエンジンでは技術的にもコスト的にも対応が難しい状況にあります。特に、触媒装置の追加や燃焼効率の最適化などの改良には高額な開発費がかかるため、各社は採算が取れないと判断しました。
そのため、長年親しまれてきた「スーパーカブ50」や「ジョルノ」などの定番モデルも、ガソリン車としての生産を終了する見込みです。
ただし、電動スクーターや新基準原付対応モデルなど、排ガス規制の対象外となる車種は引き続き開発・販売される予定です。環境負荷を減らしつつ、使い勝手を維持する方向へと業界全体がシフトしており、今後は電動化と新基準原付の両輪で市場が再編される見通しとなっています。
125cc以下の原付バイク開発が活発に
2025年4月の「新基準原付」導入を受け、国内の主要バイクメーカー各社が125cc以下クラスの新モデル開発を加速させています。これまで50cc原付が担ってきた生活の足の役割を引き継ぐため、排出ガス規制に対応した新技術や電動化の取り組みが進められています。
まずホンダは、2025年3月の大阪・東京モーターサイクルショーで「スーパーカブ110・Liteコンセプト」を発表しました。これは原付二種モデル「スーパーカブ110」をベースにした新基準対応コンセプト車で、前輪にABSを搭載し、フロントブレーキをディスク化。さらにメーターの最高速度は60km/h表示となり、安全性能と操作性の両立が図られています。
また「Dio110」などスクータータイプの新基準対応モデルも開発段階にあるとされ、街乗りユーザーへの展開も期待されています。
ヤマハは、125cc以下の排気量で原付免許対応となる新モデルを独自に開発中です。排ガス規制を満たしながらも軽量・低燃費を実現することを目標にしており、2025年中の発売を目指していると報じられています。具体的な仕様はまだ公表されていませんが、都市部での短距離移動や通勤需要を想定したデザインになる見込みです。
スズキでは「電動モペット」と呼ばれるペダル付き電動車の開発を進めています。電動モーターとペダルを併用する次世代型の小型二輪で、原付免許で運転可能なゼロエミッションモビリティとして注目を集めています。ガソリン車が規制強化で減少していく中、スズキは電動モデルによる代替を積極的に推進する姿勢を示しています。
各社とも、既存の110ccや125ccクラスをベースに最高出力を4.0kW以下に制御することで、新基準原付への適合を図る方針です。とはいえ、新規格への対応には設計・試験・認可の手続きが必要であり、量産化・普及までには一定の時間を要すると見られます。今後1〜2年のうちに、電動モデルと併せた多様な選択肢が市場に登場することが期待されています。
新基準原付に関するよくある質問
新制度の導入により「原付免許で125ccに乗れるようになるの?」「今までの原付はどうなるの?」といった疑問の声が多く寄せられています。ここでは、特に誤解されやすいポイントを中心に、免許区分や取得条件、既存車両の扱いなどをQ&A形式で整理します。
Q.新基準原付は原付免許で乗れる?
新基準原付(総排気量125cc以下・最高出力4.0kW以下)は、従来の原付免許または普通自動車免許で運転できます。つまり、免許制度に特別な変更はなく、これまでと同じ条件で運転可能です。
ただし「125ccバイク全てを原付免許で運転できるようになる」というわけではないため注意しましょう。実際には、出力が4.0kW(5.4ps)を超える原付二種モデルは、原付免許では運転できません。
Q.原付免許の取得方法や条件は変わる?
新基準原付の導入によって、原付免許の取得方法や条件が変わることはありません。従来通り16歳以上であれば受験資格があり、試験内容も学科試験と実技講習の2段階構成のままです。
また技能講習のカリキュラムや試験場での対応もこれまでと同じで、制度改正による追加負担はありません。今回の新制度は、あくまで「車両区分の追加」であり、免許制度そのものの改定ではないという点が重要です。
将来的には、新基準原付専用の講習内容や試験車両の見直しが検討される可能性もありますが、現時点では従来と変わらず取得できます。
Q.従来の原付には乗れなくなる?
従来の50cc原付も引き続き運転できます。2025年10月31日をもって50cc以下の原付バイクは生産終了となりますが、これはあくまで「新車の製造が止まる」だけであり、すでに所有している車両や中古車は継続して使用可能です。
2025年11月以降は「新基準原付」と「従来の50cc原付」が混在して走る時期が続く見込みです。また電動モデルなど排ガス規制の影響を受けない車両は引き続き販売されるため、すぐに全てが置き換わるわけではありません。
つまり、新制度によって50cc原付が「乗れなくなる」ことはなく、現行車を所有している人も安心して利用を続けられます。
まとめ
新基準原付は、環境性能の向上と利用者の利便性を両立させた新しい原付区分です。125cc以下・出力4.0kW以下という基準のもと、従来の免許で運転できる手軽さを維持しながら、安全性や走行性能の向上が期待されています。
導入背景には、排出ガス規制の強化と50ccモデルの生産終了があり、ホンダやヤマハ、スズキといった主要メーカーが次世代モデルの開発を進めています。今後は、電動化や新技術の導入により、より多様なモビリティが登場するでしょう。
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